うみのクラシック部屋

クラシックをもっと知りたくなった、勉強したくなったあなたのためのブログ。

【須賀しのぶ著「革命前夜」を読んで…】音楽をテーマとした小説としても、歴史小説としても、ミステリーとしても楽しめる!

こんにちは。
ピアニストの内田瑞穂です。

今日は、クラシック音楽が好きな人にはぜひ読んでほしい、須賀しのぶ著「革命前夜」という小説をご紹介します。



最近のリラックス法は音楽を聴きながら本を読むこと📚
ただ、読むペースが速いわけじゃないので読みたい本ばかりどんどん山積みになっていっています…😅


この「革命前夜」という小説、音楽を題材としているのですが、音楽のことが書かれた小説を読むと、無性にピアノが弾きたくなるんですよね😍
そういえば、映画化もされた「蜜蜂と遠雷」を読んだときもそうだったな…


「革命前夜」も「蜜蜂と遠雷」も、音楽のことに詳しくなくても楽しめますが、この「革命前夜」が違うのは、歴史小説としてもミステリーとしても楽しめるところ!


この「革命前夜」を読んだ感想について、今日は書いていきたいと思います!
※ネタバレ要素は含んでいないつもりですが、あらすじも読みたくない!!自分で読みたい!!という方は回れ右をお願いしますm(_ _)m


あらすじ

舞台は1989年、ベルリンの壁崩壊前の東ドイツ
日本では昭和が終わり平成が始まった年。


この地に音楽留学にやってきたピアニスト・眞山柊史だが、日本を離れてからというものなかなか自分の音を見つけられずに悩んでいた。

そんな時、教会で偶然出会ったオルガニスト・クリスタの音に魅了される。

しかし、そんな彼女は国家からの監視対象で…。


眞山も、次第に社会の流れに巻き込まれていく。

音楽の小説として

この小説は、音楽についての描写が非常に秀逸だと思います。

的を射た説明をするというのはそれ自体難しいことですが、
こと「音楽」という形のないものについて言葉で表現するというのは特に難しいな、と私も普段教えながら常々感じています。


ですが、この小説ではまるで演奏しているその場の様子が目に浮かぶように描写されているのです。



小説の中で、演奏している場面も曲もたくさん出てきますが、自分がもともと詳しくは知らない曲についてもすんなりと情景が浮かびました。


クラシックに疎い人でも、聴けばわかるようなメジャーな曲や、クラシックに詳しい人でもあまり知らないかもしれないマイナーな曲まで、本当に盛りだくさんで読みごたえがあります。


著者の須賀しのぶさんは、ピアノはまったく弾けないそうなのですが、それなのに演奏する人が読んでも自分の演奏につなげられるヒントになるかもしれない、それほどまでに深く研究された描写で音楽の世界にどっぷりつかることができました。

歴史小説として

私自身は1994年生まれ、冷戦やベルリンの壁崩壊は学校で習ったなー、教科書に載ってたなーというような出来事です。

今まで知識としては知っていても、その時代に生きていた人の様子なんてことは考えたこともなかったのだと、この小説を読んで強く感じました。



物語の中では、その冷戦時代の下に生きた人々の様子がとても丁寧に描かれています。

しかも、登場人物たち一人一人がそこに絶妙に絡み合っている…。
読み進めるほどに、一人一人まったく違う考えや境遇を抱えていることが見えてきて、本当にそこの時代に生きていたよう。


もちろん主人公はピアニスト・眞山ですが、どの登場人物もとても丁寧に作り込まれていて、脇役っていないんじゃないかな?というほどに愛着がわいてしまいます。

歴史を知識としてつらつら書き連ねるのは簡単ですが、史実と絡めつつ、ノンフィクションなんじゃないかと思わせられるほどに深く作り込まれていました。

ミステリーとして

この作品、ミステリーというくくりではないはずですが、物語中盤からはミステリー要素も強くなっていきます。


冷戦下の東ドイツということで、序盤から不穏な空気はずっとありましたが、主人公の周りでも徐々に事件が起こり始めます。

特に物語後半からの、ほかの登場人物たちもどんどん巻き込んで加速していく、その疾走感
事件が解決したと思わせてからのどんでん返しの連続…。

帯のおすすめコメントに、“しばらく放心状態になった”と書かれるのも頷けます😌

私も、特に後半に入ってからは、一気に読みすすめてしまいました。


あとがき

冒頭にも書きましたが、音楽がテーマの小説を読むと本当にピアノが弾きたくてたまらなくなります。
音楽にどっぷり浸かれるって幸せですね…!


音楽の小説としても、歴史小説としても、ミステリーとしても、読みごたえがあっておすすめです!

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